令和3年度(2021年度)北海道大学工学部 特別選抜
令和3年度(2021年度)入学の北海道大学工学部特別選抜に合格しましたので、主に私が受けた試験の概要について報告したいと思います。
今回の記事の内容をさらに聞きたい、もしくは質問があるという方はこちらまでどうぞ。
Twitter (@sakuwashi110120)
基本情報
私は某高専の化学科に所属しています。
北海道大学工学部の3年次編入試験は、特別選抜と一般選抜の2種類があります。特別選抜の推薦基準は、出身学校長が推薦する成績が優秀な者です。そのため、具体的な席次の基準はありません。私の通っていた高専では、席次が一桁以上ならば出願できると言われていました。出願書類の中の調査書を見ると、3、4年時の席次を書く欄がありました。席次が絶対というわけではありませんが、高いに越したことはないです。
北海道大の特別選抜と一般選抜の違いは以下の通りです。
・特別選抜→小論文、面接(口頭試問を含む)
・一般選抜→物理、数学、化学、英語(TOEICのスコアで換算)、面接
試験の時期としては、特別選抜が6月、一般選抜が8月です。
*数年前は8月の一般選抜の前日に特別選抜を行っていたらしいです。
詳しくは北海道大学工学部のHPを参照してください。
私が志望したのは、応用理工系学科応用化学コースです。参考までに高専の席次は、
4年生...5位
でした。北海道大学の特別選抜は1位,2位の人でも受かるか分からないと聞いていたので、自分でもびっくりしています。
志望動機
北海道大学は、
・1つのキャンパスにほぼ全ての学部が入っている総合大学であること
・キャンパスが自然に囲まれていること
が大きな魅力だと思います。
また、私の興味のある研究を行なっている研究室があったため志望しました。
試験対策
一般選抜
受験勉強は、
英語→4年生の4月から
物理→4年生10月から
数学、化学→4年生の春休みから(4年から5年にかけて)
行いました。
以下にまとめるのは5年生の5月いっぱいまでの勉強方法です。(6月以降は特別選抜の対策のみしていました)
勉強時間は1日平均8~9時間です。月200時間を目標にしていました。
数学
主に参考書を使用して勉強していました。
北海道大学の数学は基本的な問題が多く解きやすいです。しかし、私の高専では習っていなかったベクトル解析や複素解析が出ていて苦労していました。
私は、最初は編入数学徹底研究を使い、忘れている所のみ虫食いのようにして取り組みました。その後は過去問と編入数学過去問特訓をやりました。取り組んだ過去問は、北海道大、東京農工大、東北大、専攻科を15年分くらいです。
化学
主に過去問を使用して勉強していました。
北海道大学の化学は、大きく化学基礎、無機化学、有機化学、高分子化学に分かれている印象です。大学化学というよりかは高校化学寄りなのである意味大変です。
私は過去問を中心に解いていました。取り組んだ過去問は、北海道大、東京農工大、東北大、金沢大、専攻科、岩手大(農)、東京工業大、お茶の水女子大(理)、大阪府立大、秋田大、京工繊大、名古屋工業大、横浜国立大、徳島大です。合わせて50年分くらいやりました。
化学系の高専生ならば、ある程度の知識はあると思うのでいきなり過去問を解いても大丈夫です。
ただ、無機の反応の問題と有機化学は1度ワークや教科書で復習してからの方が良いです。
私は、無機の反応の問題は化学の新演習を使いました。化学の新研究という有名な参考書に沿っている問題集でセンター試験向けです。量が多いので、無機の分野だけやれば良いと思います。
有機は高専で使用した教科書(工学のための有機化学)を3周しました。うろ覚えでも8時間あれば1周できるので頑張りましょう。
物理
北海道大の一般選抜の鬼門は物理だと思います。特に化学系の高専生は習っていない所や基礎しかやっていない所が多く勉強が大変だと思います。
北海道大の物理の出題範囲は大きく熱力学、力学、波動、電磁気に分けられます。
年々傾向が変わってきているようで、難易度は上がってきているそうです。
私は主に参考書を使用して勉強していました。
熱力学→基礎物理学演習I
波動→名門の森
力学→演習力学
を使いました。
物理は、早い時期から始めた方が良いと思います。高専で使った教科書の復習から入ると良いです。
英語
TOEICは真っ先に取り組むことをお勧めします。スコアシートは2年間有効なので早めに始めて損は無いです。今年はコロナの影響もあったため、600点取っていればある程度有利だったのではないかと思います。
北海道大だけでなく専攻科や他大学でも使えるところは多いので取っておきましょう。
私は4年生の1月の時点で600点を超えていたので余裕をもって受験勉強に取り組めました。
使用した参考書は、でる1000という文法書、金のフレーズ、公式問題集です。
特別選抜
北海道大学工学部の特別選抜は、例年小論文と面接(口頭試問を含む)が行われています。
小論文
本格的に対策を始めたのは4月末からです。小論文のネタ本や、他大学の過去問などを見て研究室の先生や国語の先生に添削をお願いしていました。また、新聞ノートを作りました。毎日、新聞の社説の部分のスクラップを作り自分の意見をまとめるようにしていました。
HPに載っている小論文の過去問を見ると分かるのですが、R1年度(私が受ける前の年)から問題形式が大きく変わっています。例年出ているエネルギー系の問題に加えて、基本的な化学の知識(有機、物理化学、高分子)が問われるようになっているので対策は必須です。高専の先生に今化学で話題の分野などを聞くのも手だと思います。
口頭試問
私が受験した応用化学コースでは、例年、卒業研究と当日行う小論文の内容について詳しく聞かれているようです。私は、卒業研究の内容を口頭で説明できるように準備していました。また、小論文でよく出題されているエネルギー関連の内容は原理から説明できるように準備していました。
実際の試験について
今年はコロナの影響で対面試験ではなくweb面接でした。また、小論文が無くなり試験の中で10分~15分間卒業研究についてのプレゼンテーションを行うことになりました。
試験内容の変更の連絡がきたのは試験の3週間程前で、それまでは小論文と口頭試問対策を行っていました。連絡が来てからはPowerPointでスライド作成、発表練習をひたすらしていました。
試験当日はweb面接であったため高専で受けるか自宅で受けるか選択することができました。私は高専で受験しました。
試験の流れとしては、
卒業研究のプレゼンテーション→プレゼンに対する質疑応答→志望動機等の質問
でした。試験時間は約40分かかりました。
聞かれた内容は以下の通りです。
・卒業研究について(プレゼンテーションの内容を踏まえて)
・留学について(行き先、選択理由、何をしたか、カルチャーショックを受けたこと等)
・志望動機と入ってからやりたいこと
・志望した研究室に入れなかったときどうするのか
・英語学習について(TOEICについて、5年生以降の英語の勉強について)
・インターンシップについて
・逆質問(唯一想定外でした..)
後輩へのメッセージ
個人的な意見として、
・受験は情報戦
・勉強は量と質どちらを求めても良い
と考えています。
そもそも、北海道大に限らず編入試験は情報が少ないです。そのため、4年生の時はひたすらいろいろな大学の過去問や編入体験談を集めていました。また、研究室見学も4年生の時に行きました。そこから必要な席次やTOEICの目標点、受験対策を練ると良いです。
そして、持論ですが受験は勉強量で戦うのも有りだと思っています。勉強方法に正解は無いので自分に合った方法を見つけるのは大変だと思います。自信を持って取り組むことをお勧めします。